2008年8月8日金曜日

プログレ名盤。 Spectral Mornings / Steve Hackett


79年作の3作目の Steve Hackett の「スペクタクル・モーニング」は、文句のつけようののない大傑作でした。
自身のサウンド・コンセプトを確立し、迷いもなく自信に満ち溢れているようだ。
1曲目「Every Day」から Steve の創造性は全快、躍動感とロマンティシズムが見事に融合したメロディーやギター・ソロは名演。
タイトル曲「スペクタクル・モーニング」では、哀愁のメロディーを切ないまでも歌い上げる Steve のギターは感動的ですらある。
その他の曲も、昔の遊園地に迷い込んでしまったような錯覚を覚える、少しコミカルで懐かしい哀愁を漂わせてたり、中南米っぽいメロディーだったり不思議な世界で楽しめます。
6曲目「ロスト・イン・コルドバ」では、後のクラッシック・ギターによる一連の作品を予感させる、クラッシック・ギターの演奏。コルドバに行ったこともなければ、観た事もありませんが、風景が頭の中で想像されていきます。
この頃の世相としては、ニュー・ウェイヴやテクノ・ポップなどが持てはやされていましたが、プログレ受難の年代に、こっそりとこんな傑作アルバムが発表されていたなんて、GENESIS が失ったもの、いやプログレ界全体が失っていったものを Steve Hackett は全て拾い上げ、はたまた再現していったのでした。

2008年8月6日水曜日

Please Don't Touch / Steve Hackett


78年 GENESIS を脱退した Steve Hackett のソロ2作目は、意外にアメリカナイズされた、フォーク・ロック的な曲が前半を占めている。
参加メンバーにはアメリカン・プログレの雄 KANSAS のSteve Walsh と Phil Ehart とフォーク・シンガーの Richie Havens それと何故か黒人女性シンガー Randy Crawford、この人はクルセイダースストーリト・ライフなどのボーカルだったことやなにかのトレンディー・ドラマの主題歌で日本でも人気があった人で Steve Hackett との接点がよく判りません。とにかくアメリカ勢が大勢占めているので、きっと今までのSteve Hackett の雰囲気とは違和感を覚えるのかも知れませんが、それは、あくまでもいい意味での違和感です。
6曲目の「Hoping Love Will Last」での Randy Crawford の熱唱からラスト10曲目の Richie Havens がしっとりと歌う「Icarus Ascending」まで、切れ目なしで、まるで七変化的にカラフルな Steve Hackett のギター・プレイは色々なエフェクターや奏法を駆使しながら、聞くものを飽きさせないプレイを展開、後々のライヴでの定番となるようなフレーズも含まれています。
この作品は何人かのヴォーカリスト達が参加していますので、歌物が Steve のアルバムの中では一番良いというか、必然的に聴けます。そのしっかりとした歌物の楽曲の中に、ほど良い感じで Steve のギター・プレイが入っていてバランスも良いし、ある意味ポップでもあります。
発売当時から今日に至るまで、このアルバムにはお世話になっています。大好きです、しかし、しかし
これで終わらず、この次の作品では、これぞ Steve Hacett と唸らせるほどの大傑作アルバムをだすのだから Steve は凄い!

2008年8月5日火曜日

プログレ魂を持つ男 Voyage of the Acolyte / Steve Hackett



Steve Hackett の75年の初ソロ・アルバムは中世ヨーロッパ的ロマンを感じさせる、非常にGENESIS そのもの、もしや「月影の騎士」の続編的な作品。残念なのは当たり前だがPeter Gabriel のヴォーカルがないことだけです。

当時 GENESIS は問題作「幻惑のブロードウェイ」を発表して、その張本人である Peter はGENESIS を脱退してしまった。たぶん、このアルバムに収められている楽曲は Steve Hackett が GENESIS 用に考えて作ったものだと思います。

ジャケットの絵は  Steve  の奥さんが描いたもので、その淡い世界そのもの、繊細で美しく、少し物悲しい楽曲が並んで、この独特な中世ヨーロッパ的な美意識は、その後の Steve の作品群にも継承されていくことになる。やはり前期GENESISの中世的なロマンや雰囲気は Steve Hackett が持ち込んだものだというのが、この作品を聴くとよく判ります。

音楽的にどうこうというより、自分はとにかく、こういう幻想的で美しい、しかもドラマを感じさせられる曲が大好きです。当然その後の Steve の作品群も私のお気に入りなっていくのでした。なんとなく職人気質を感じさせる Steve Hackett の道程も好感が持てますし、まさにプログレ魂を持つ男でもありギター職人でもある Steve Hackett なのでした。



ブリティッシュ愛 佐久間町withスティーヴ・ハケット

2008年8月1日金曜日

B級の真骨頂! Bedside Manners / Greenslade


コラシアムの解散後、キーボードの Dave Greenslade は盟友 Tony Reeves と共に、元サムライの Dave Lawson、はたまた元 King Crimuson の Andrew McCulch と自分の名前をグループ名にしたこの Greenslade を72年に結成。

ツイン・キーボードにギター・レスという独特な編成でデビューし、ある程度の好評を博した Greenslade のセカンド・アルバムです。完成度もそこそこ高く、たぶん Greenslade の最高作?だと思います。

ジャケットからして、B級ホラー映画みたいで、私のすきなB級感がサウンドとともに全体に漂っています。こういったグループが存在するというのもやっぱし70年代の良さですよね。今じゃきっとレコード会社も相手にしないだろうから。

ツイン・キーボードですが決して、煌びやかさはなく、オルガン・サウンドな地味な音質です。でもそこがブリティッシュ的、ギターがない代わりにベースが骨太な音でメリハリをつけています。King Crinuson の「リザード」でドラムを叩いていた Andrew MacCuloch のドラム・プレイが堪能できるのも、 Greenslade の魅力です。最近気がついたのですが、ある程度の大音量で聞かないと Greenslade の良さは判りにくいので、許す限りにボリュームを上げて鑑賞してください。最後に愛情を持って聴けばすごく良いグループです。