2008年9月4日木曜日

再び Klaus Schulze / Time Wind



Klaus Schulze の75年の作品「Time Wind」です。
高校生だったころタンジェリン・ドリームも聴いていたんで、その流れで買ったと思います。
タンジェリン・ドリームのほうは、同じシンセ・ミュージックでもメロディーもあったし叙情的な部分も
あったので受け入れやすかったのですが、Klaus Schulze はもっとコアな面が強いですね。
ワーグナーに捧げるとありますが、すごく重く暗い世界です。
延々とシンセの反復リズムが続きます、聴き続けるとトリップしそうな感じ。
ひたすら終焉に向かって突き進むような、そして最後の終わり方は強烈でした。
高校生だった私は恐ろしくなり、長い間この「Time Wind」を聴くのを封印してしまいました。
それから30年ようやく私は恐怖の扉をまたあけるのでした。

2008年8月8日金曜日

プログレ名盤。 Spectral Mornings / Steve Hackett


79年作の3作目の Steve Hackett の「スペクタクル・モーニング」は、文句のつけようののない大傑作でした。
自身のサウンド・コンセプトを確立し、迷いもなく自信に満ち溢れているようだ。
1曲目「Every Day」から Steve の創造性は全快、躍動感とロマンティシズムが見事に融合したメロディーやギター・ソロは名演。
タイトル曲「スペクタクル・モーニング」では、哀愁のメロディーを切ないまでも歌い上げる Steve のギターは感動的ですらある。
その他の曲も、昔の遊園地に迷い込んでしまったような錯覚を覚える、少しコミカルで懐かしい哀愁を漂わせてたり、中南米っぽいメロディーだったり不思議な世界で楽しめます。
6曲目「ロスト・イン・コルドバ」では、後のクラッシック・ギターによる一連の作品を予感させる、クラッシック・ギターの演奏。コルドバに行ったこともなければ、観た事もありませんが、風景が頭の中で想像されていきます。
この頃の世相としては、ニュー・ウェイヴやテクノ・ポップなどが持てはやされていましたが、プログレ受難の年代に、こっそりとこんな傑作アルバムが発表されていたなんて、GENESIS が失ったもの、いやプログレ界全体が失っていったものを Steve Hackett は全て拾い上げ、はたまた再現していったのでした。

2008年8月6日水曜日

Please Don't Touch / Steve Hackett


78年 GENESIS を脱退した Steve Hackett のソロ2作目は、意外にアメリカナイズされた、フォーク・ロック的な曲が前半を占めている。
参加メンバーにはアメリカン・プログレの雄 KANSAS のSteve Walsh と Phil Ehart とフォーク・シンガーの Richie Havens それと何故か黒人女性シンガー Randy Crawford、この人はクルセイダースストーリト・ライフなどのボーカルだったことやなにかのトレンディー・ドラマの主題歌で日本でも人気があった人で Steve Hackett との接点がよく判りません。とにかくアメリカ勢が大勢占めているので、きっと今までのSteve Hackett の雰囲気とは違和感を覚えるのかも知れませんが、それは、あくまでもいい意味での違和感です。
6曲目の「Hoping Love Will Last」での Randy Crawford の熱唱からラスト10曲目の Richie Havens がしっとりと歌う「Icarus Ascending」まで、切れ目なしで、まるで七変化的にカラフルな Steve Hackett のギター・プレイは色々なエフェクターや奏法を駆使しながら、聞くものを飽きさせないプレイを展開、後々のライヴでの定番となるようなフレーズも含まれています。
この作品は何人かのヴォーカリスト達が参加していますので、歌物が Steve のアルバムの中では一番良いというか、必然的に聴けます。そのしっかりとした歌物の楽曲の中に、ほど良い感じで Steve のギター・プレイが入っていてバランスも良いし、ある意味ポップでもあります。
発売当時から今日に至るまで、このアルバムにはお世話になっています。大好きです、しかし、しかし
これで終わらず、この次の作品では、これぞ Steve Hacett と唸らせるほどの大傑作アルバムをだすのだから Steve は凄い!

2008年8月5日火曜日

プログレ魂を持つ男 Voyage of the Acolyte / Steve Hackett



Steve Hackett の75年の初ソロ・アルバムは中世ヨーロッパ的ロマンを感じさせる、非常にGENESIS そのもの、もしや「月影の騎士」の続編的な作品。残念なのは当たり前だがPeter Gabriel のヴォーカルがないことだけです。

当時 GENESIS は問題作「幻惑のブロードウェイ」を発表して、その張本人である Peter はGENESIS を脱退してしまった。たぶん、このアルバムに収められている楽曲は Steve Hackett が GENESIS 用に考えて作ったものだと思います。

ジャケットの絵は  Steve  の奥さんが描いたもので、その淡い世界そのもの、繊細で美しく、少し物悲しい楽曲が並んで、この独特な中世ヨーロッパ的な美意識は、その後の Steve の作品群にも継承されていくことになる。やはり前期GENESISの中世的なロマンや雰囲気は Steve Hackett が持ち込んだものだというのが、この作品を聴くとよく判ります。

音楽的にどうこうというより、自分はとにかく、こういう幻想的で美しい、しかもドラマを感じさせられる曲が大好きです。当然その後の Steve の作品群も私のお気に入りなっていくのでした。なんとなく職人気質を感じさせる Steve Hackett の道程も好感が持てますし、まさにプログレ魂を持つ男でもありギター職人でもある Steve Hackett なのでした。



ブリティッシュ愛 佐久間町withスティーヴ・ハケット

2008年8月1日金曜日

B級の真骨頂! Bedside Manners / Greenslade


コラシアムの解散後、キーボードの Dave Greenslade は盟友 Tony Reeves と共に、元サムライの Dave Lawson、はたまた元 King Crimuson の Andrew McCulch と自分の名前をグループ名にしたこの Greenslade を72年に結成。

ツイン・キーボードにギター・レスという独特な編成でデビューし、ある程度の好評を博した Greenslade のセカンド・アルバムです。完成度もそこそこ高く、たぶん Greenslade の最高作?だと思います。

ジャケットからして、B級ホラー映画みたいで、私のすきなB級感がサウンドとともに全体に漂っています。こういったグループが存在するというのもやっぱし70年代の良さですよね。今じゃきっとレコード会社も相手にしないだろうから。

ツイン・キーボードですが決して、煌びやかさはなく、オルガン・サウンドな地味な音質です。でもそこがブリティッシュ的、ギターがない代わりにベースが骨太な音でメリハリをつけています。King Crinuson の「リザード」でドラムを叩いていた Andrew MacCuloch のドラム・プレイが堪能できるのも、 Greenslade の魅力です。最近気がついたのですが、ある程度の大音量で聞かないと Greenslade の良さは判りにくいので、許す限りにボリュームを上げて鑑賞してください。最後に愛情を持って聴けばすごく良いグループです。

2008年7月28日月曜日

Brilliant Trees / David Sylvian



David Sylvian は、あの JAPAN の中心人物である。

JAPAN 自体がその容貌から、ミーハー的なバンドとして、特に日本では異様と思えるほどアイドルとして、熱狂的に迎えられた。デビュー当時は本国イギリスでは、ほとんど無名であった。しかし、今ではいわゆるビュジアル系バンドの元祖として神格化されている。だが、それは外見的な部分だけのことで、内面の精神的部分は皆無である。

その David Sylvian の初ソロ・アルバムです。注目は 坂本龍一、ホルガー・シューカイジョン・ハッセル などの参加メンバーです。サウンド的にも曲の内容も、かなりストイックで、文学的かつ宗教的な雰囲気が全編に漂う内容です。彼自身は、特別に学歴があるとかそういうタイプではないが,内面は恐ろしく繊細な神経な持ち主で、JAPAN の絶頂期で解散というのも頷けます。

今もなにか世捨て人という生活をしているみたいなのですが、その生き方は有能なミュージシャンを引き寄せながら、その後も素晴らしい作品を発表していきます。あの ロバート・フリップ もしかりで深くか関わっています。

個人的には3曲目の「ノスタルジア」とラストの「Brillant Trees」にすっかり魅了され、なぜか聴くごとに心が浄化される洋な感覚になります。ほんとうにこれは、文学的な作品だと思います。

2008年7月25日金曜日

遅れグラム・ロック Steve Harley & Cockney Rebel / Face To Face



70年代UKロックのムーヴメントの一つとして、グラム・ロックというものがあった。デヴィッド・ボウイ、ロキシー・ミュージックスレイド、Tレックスなどなど数多くのスター達を輩出していった。

しかしそのブームも73年末頃にはピークをすぎており、当時デビューしたグラム系のグループは「遅れてきたグラム」と呼ばれた。そんな遅れグラム・ロックの代表各がこの Cockney Rebel です。

日本でもセカンド・アルバムの邦題「さかしま」はそこそこ話題にはなりました。メンバーにも、後に10cc、アラン・パーソンズに参加した Duncan Mackay(key)や Stuart Elliot(Dr)などが居ます。

中心人物の Steve Harley ですがデカダンス、ナルシズムなどグラム的な要素もしっかり兼ね備え、独特な歌いまわしが強烈に印象に残り、好き嫌いがはっきりと別れるタイプだと思う。聞き込めば病み付きになるというスルメイカ的なメロディーが、単なるB級と切り捨ててしまうのはもったいない存在です。

前作の「さかしま」も派手さはないが独特のエグ味を持つサウンドと独善的メロディーが心に残る英国ポップの裏名盤だったが、本作はそんな彼らの初ライヴ盤でもあり、ラスト・アルバムでもある。ロック・コンサートというより、なにか場末のキャバレーのショーでも観ているようで、独特でかつ異様な盛り上がりをみせていて、聴くほどに楽しめる作品です。

少数派が好きな自分ですが、この Steve Harley & Cockney Rebel も、この日本で一体何人の人が知っているんでしょうか?知る人ぞ知るという感じがまたマニア心に火をつけるんでしょうか。