2008年7月28日月曜日

Brilliant Trees / David Sylvian



David Sylvian は、あの JAPAN の中心人物である。

JAPAN 自体がその容貌から、ミーハー的なバンドとして、特に日本では異様と思えるほどアイドルとして、熱狂的に迎えられた。デビュー当時は本国イギリスでは、ほとんど無名であった。しかし、今ではいわゆるビュジアル系バンドの元祖として神格化されている。だが、それは外見的な部分だけのことで、内面の精神的部分は皆無である。

その David Sylvian の初ソロ・アルバムです。注目は 坂本龍一、ホルガー・シューカイジョン・ハッセル などの参加メンバーです。サウンド的にも曲の内容も、かなりストイックで、文学的かつ宗教的な雰囲気が全編に漂う内容です。彼自身は、特別に学歴があるとかそういうタイプではないが,内面は恐ろしく繊細な神経な持ち主で、JAPAN の絶頂期で解散というのも頷けます。

今もなにか世捨て人という生活をしているみたいなのですが、その生き方は有能なミュージシャンを引き寄せながら、その後も素晴らしい作品を発表していきます。あの ロバート・フリップ もしかりで深くか関わっています。

個人的には3曲目の「ノスタルジア」とラストの「Brillant Trees」にすっかり魅了され、なぜか聴くごとに心が浄化される洋な感覚になります。ほんとうにこれは、文学的な作品だと思います。

2008年7月25日金曜日

遅れグラム・ロック Steve Harley & Cockney Rebel / Face To Face



70年代UKロックのムーヴメントの一つとして、グラム・ロックというものがあった。デヴィッド・ボウイ、ロキシー・ミュージックスレイド、Tレックスなどなど数多くのスター達を輩出していった。

しかしそのブームも73年末頃にはピークをすぎており、当時デビューしたグラム系のグループは「遅れてきたグラム」と呼ばれた。そんな遅れグラム・ロックの代表各がこの Cockney Rebel です。

日本でもセカンド・アルバムの邦題「さかしま」はそこそこ話題にはなりました。メンバーにも、後に10cc、アラン・パーソンズに参加した Duncan Mackay(key)や Stuart Elliot(Dr)などが居ます。

中心人物の Steve Harley ですがデカダンス、ナルシズムなどグラム的な要素もしっかり兼ね備え、独特な歌いまわしが強烈に印象に残り、好き嫌いがはっきりと別れるタイプだと思う。聞き込めば病み付きになるというスルメイカ的なメロディーが、単なるB級と切り捨ててしまうのはもったいない存在です。

前作の「さかしま」も派手さはないが独特のエグ味を持つサウンドと独善的メロディーが心に残る英国ポップの裏名盤だったが、本作はそんな彼らの初ライヴ盤でもあり、ラスト・アルバムでもある。ロック・コンサートというより、なにか場末のキャバレーのショーでも観ているようで、独特でかつ異様な盛り上がりをみせていて、聴くほどに楽しめる作品です。

少数派が好きな自分ですが、この Steve Harley & Cockney Rebel も、この日本で一体何人の人が知っているんでしょうか?知る人ぞ知るという感じがまたマニア心に火をつけるんでしょうか。

2008年7月23日水曜日

SUNSET WADING / John G Perry


John G Perry は中期CARAVAN のメンバーだった人。その後は Rupert Hine のバンドなどで活躍する。
プログレを聴き続けていると、本当にプログレの果てまで来てしまったような感覚を覚える隠れ名盤と出会える。プログレ受難の年、76年はこういった音楽を不定するパンク・ムーヴメントが吹き荒れていた時代でした。
アルバムは曲というより、14個の音のピースから成り立っています。ジャケットのイメージそのものの、クールなサウンドや後期のゴングみたいなジャズ・ロックや、アンビエント風なサウンドなど、どれもその先のプログレの世界を十分予感させるものであります。
参加メンバーは、その後、名を馳せる Rupert Hine 、BrandX から Morris Pert 元 King Crimuzon の Michael Giles 、Deep Purple から Roger Glover、 CARAVAN のメンバーでその後ペンギン・カフェの Geoffrey Richadson 当、豪華なのも嬉しいです。
この暑い夏は、夕暮れ時にビールでも飲みながら、この作品を聴くのもプログレ通の密かなる愉しみでもありますね。

2008年7月19日土曜日

Curious Feeling / Tony Banks


ご存知 GENESIS の Tony Banks  の1979年の初ソロ・アルバムです。丁度、GENESIS が「そして3人が残った」を発表した後です。
ですから、当時のポップになる以前のプログレ的な雰囲気も残っています。全体的にヤマハのエレピの音とそれに重なる壮厳なストリングスといった感じでしょうか。派手さは全くありません。ジャケットの淡い絵が雰囲気に合っています。なんとなく秋の夜長に聴きたくなったりします。
Tony Banks はその後、GENESIS のブレイクと共に、 Phill やMike のようにソロとしての成功を夢みて、ポップよりの作品を作っていきますが、イメージ的に地味といおうか生真面目な性格が相まって、個人としての大きな成功はえられませんでした。やはり人間的に裏方タイプの人なんですね。
個人的には Tony Banks を聴けるのはここらまでで、その後は正直つまらない、キーボード・プレイも単純なコード弾きばかりになってしまった。このアルバムもギリギリOKというところなんですが、ジャケットの絵が気にいっているので、手元に置いています。もちろん中期GENESISが好きであれば、まちがいなくこの作品も気にいると思いますよ。

2008年7月10日木曜日

神話の中の亡霊 / Barclay James Harvest



Barclay James Harvest については、実はよく知らない。初期の作品を確か30年前に聞いていたと思うが、印象には残らなかった。たぶん刺激がなかったからだと思う。

最近、なんとなく聞いてみたくなり、本当に訳もなく本作「神話の中の亡霊」を買って聞いてみました。音はリマスターされ鮮明になっていて非常に聴きやすい。このアルバムはB.J.H の8作目で、プログレっぽい雰囲気きも少し残しながらも、ポップな曲想で聴きやすく、彼ら特有の温かみ、かつ牧歌的な、または田園風景が浮かんできそうな、いい感じでした。

たぶん、自分が年をとり感受性が変わってきて、刺激よりこういった安らぎを覚える音楽を欲するようになってきたのかも知れない。こういった音楽をアメリカ人が演奏すると、たぶんウエスト・コーストみたいになるんでしょうが、そうはならないところがブリティッシュの良さで、やはり独特の湿りっけがあるからだろう。

曲はビートルズっぽいメロディーだったり、実際ビートルズの曲がところどころ顔をだす。あとキング・クリムゾンへのアンサー・ソングの「ムーン・ガール」という曲があり、冗談っぽくて笑えます。B.J.Hに関しては自分もようやく受け入れ態勢ができたみたいですので、遅ればせながら少しずつ聞いていこうと思いました。やはりプログレ道は長い!