2008年5月11日日曜日

GRYPHON / Red Queen Gryphon Three


GRYPHON は、英国王立音楽院で古典楽器を学んでいた、二人の学生が中世音楽とロックの融合を目指して結成された。
プログレでは、よく中世音楽を素材として用いたケースは数多いが、彼らのようにオリジナルの作曲によって、さらに探求を深めた例はあまりない。このようなアルバム、もしくは GRYPHON のようなグループが存在したことがプログレの奥深さを感じずにいられない。
この当時 YES のツアーの前座を務めていたこともあり、それに誘発されたのか、このアルバムでは、キーボード・サウンドがより全面的に出て、かつ全曲インストルメンタルのみの長尺な4曲で構成されている。
キーボード類の大幅な導入に加えて、テープ・エフェクトすら用いながら、めくるめくる音彩のきらめくタピストリー、リーダー格の Ricard Havey は、後にリコーダーのソロ・アルバムを製作するほどの腕達者であり、同じく王立音楽院の出身の Brian Gulland はバスーンや古楽器の優雅な音色を鮮やかに操って、特徴あるサウンドを作り出している。
しかし、中世音楽に特有の体位法的な展開や装飾的フレーズを可能にしているのは、グループ全体の卓越したアンサンブル能力にほかならない。実によく練り上げられた作曲、構成と相まって、物憂いまどろみからリズミックな疾走へ、それすら跳躍のための助走に過ぎなかったのかと思い知らされる。

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